キャットフードを選ぶ時、消化が良いフードを選びたい方が多いのではないでしょうか?
今回は消化の良いペットフードとはどんなものか紹介します。
ペットフードの消化の良さは消化率だけで決まるわけではありません。
また、体調によってはあえて消化に時間のかかるフードを与える場合もあります。
消化の良いフードとはどんなものか、ペットフードの消化率を決めるもの、あえて消化しづらくすることで体調を整えるフードなどについて紹介します。
ペットフードの消化率とは?
消化率とは食べたものの中で何割が消化吸収されたかを示すものです。
消化率(%)=(摂取量ー糞中排出量)/摂取量×100
上記の式で表されます。
食事に含まれるもので人間や犬、猫が消化吸収できないものの一つが食物繊維で、食物繊維が多い食事は消化率が下がります。
では「消化率が高い」と「消化が良い」のでしょうか?
一般的には「消化率が高い」、「消化される速度が速い」、「消化管内(胃腸)にとどまる時間が短い」、この3つがそろうと消化が良いとされます。
例えば脂肪は消化吸収されやすく特殊な場合を除けば消化率が95%以上ですが、消化される速度は炭水化物やたんぱく質よりも遅いため脂肪が多い食事は「胃にもたれる」と表現される場合があります。
消化率が高い≠消化が良い
ペットフードの消化率はどこを見ればわかる?
ペットフードのパッケージにはそのフードの消化率を記載する義務はないため、見てわかるところに記載されていないことがほとんどです。
「消化率が高い」という表現にも実は明確な定義はなく、消化率80%以上のペットフードを高消化性、消化率が高いとすることが多いようです。
一つの目安として、1g当たりのカロリーが4kcal以上のペットフードは低食物繊維、高脂肪であることが多く消化率はより高くなると考えられます。
また消化率の高いフードは消化吸収されずに便と合わせて排泄される部分が少ないので実際に与えてみると便の量が減る傾向があります。
消化率が高いペットフードの良いところ
少ない量で効率よくカロリーが取れるため、離乳期から成長期は消化率の高いフードが勧められます。
また高齢の猫は食べ物を消化するのに必要な胆汁の内容が若い頃と比べると変化してきたり膵臓の機能が低下することによって消化吸収力が落ちて、今までと同じ量を食べていても体重が減ってくる場合があります。そういった場合も消化率が高いフードが選ばれることがあります。
猫は穀物を消化できない?
猫は肉食なので穀物は消化できないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
穀物については雑食である犬や人間も生のままでは消化できません。
自然界で暮らす猫はネズミなどを丸ごと食べてネズミの胃の中で半消化された穀物をとることで穀物も自分の栄養源にしています。
人間はごはんのように穀物を水と合わせて加熱することによって穀物の中のでんぷんをα化(糊化)させ消化しやすくして食べています。
ペットフードの中の穀物ももちろん水と合わせて加熱されているので消化しやすくなっています。
肉食の猫でもペットフードの40%程度(乾物量換算)までであれば炭水化物をとっても問題ないとされており、市販のキャットフード中の炭水化物は30%-35%程度(乾物量換算)で製造されています。
消化率が低いフードは良くない?
ペットフードの原材料に穀物を使う理由はたくさんあります。ビタミン、ミネラル、たんぱく質、脂肪、食物繊維などの供給源としても穀物が利用されています。
食物繊維が多くなるとペットフード自体の消化率は低くなりますが、食物繊維には体調を整える働きがあります。
食物繊維のメリット
食物繊維は腸内で発酵されるのに時間がかかる不溶性繊維と速やかに発酵される可溶性繊維に分けられます。
不溶性繊維にはたくさんのメリットがあります。
- 軟便の時に便を固めやすくする。
- 軽度の便秘であれば食物繊維と水をとることで便をかさましし排便を促す。
- ペットフードのカロリーを下げてなおかつ腹持ちが良い。
- 体重を増やしたくない時に。
- 食後の血糖値上昇を緩やかにするので血糖値が気になる時に。
可溶性繊維にもたくさんのメリットがあります。
- 腸内で乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌を増やす。
- 病原性大腸菌を増やしにくい腸内環境に整える。
- 可溶性繊維が発酵される際に発生する短鎖脂肪酸が腸粘膜の栄養源になる。
- 便に水分を含ませ軟らかくする。
腸内環境が良くなることによって便のにおいが減ることもあります。
ペットフードの消化率はフード選びの一つの目安になりますが、それがすべてではありません。
おうちのペットの体調に応じて合うフードは変わります。
かかりつけの獣医師に相談しながら体調に応じて使い分けましょう。