頑張りすぎない猫の歯みがき

ねこのお世話
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こんにちは!獣医師まいたけ(@maitake-vet.com)です。

2歳以上の猫の8割は口臭や歯周病などのトラブルを抱えていると言われています。歯周病は歯が抜けるだけでなく、全身的な感染症を起こしたり糖尿病や腎不全を悪化させる要因になったりすることも。

しかし、おうちの子に少しでも長く元気で快適に過ごしてほしいと思う方ほど頑張りすぎてしまって、口の中を傷つけてしまったり猫が嫌がって触らせてくれなくなることがあります。

気軽に取り組めるデンタルケアについておさらいします。

 

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猫のデンタルケアグッズ

歯の表面の歯垢を取り除くために一番お勧めしているのが歯ブラシと歯みがきペーストの組み合わせです。わが家では酵素入りで猫が好きなフレーバーのものを用意するようにしています。
また歯ブラシはなるべくブラシの部分が小さいものが猫に嫌がられなくてお勧めです。
歯ブラシでみがくのがむずかしい時は他にも猫用のデンタルケアグッズがあります。
 
指サックタイプのブラシ
デンタルシートやガーゼ
歯みがきガム(おやつ)
歯をみがく効果がある療法食
歯みがき用おもちゃ
 
ただし製品によっては歯と歯の隙間や歯と歯肉の間の歯垢を取り除きにくいものもあります。
 

猫にやさしい歯みがきの基本ルール

歯ブラシは鉛筆を持つように親指、人差し指で持って、中指で軽く支えます。
猫の唇をそっとめくって歯と歯肉の間に歯ブラシを45度の角度で当てるつもりで小刻みに横に動かして歯垢をかきとります。
この時、歯ブラシを持つ指に力を入れすぎると口の中を傷つけたり猫が痛がって歯みがきを嫌がるようになることもあるので力加減は最初に確認しておきます。
 
ちょうどいい力加減は手の甲に歯ブラシを当てても痛くない、軽くなでる程度の力加減です。
お料理用のはかりがある方ははかりの表面を軽く磨いてみてください。
はかりの表示が10gから20gくらいになるくらいがちょうどいい力加減です。
このくらいの力加減で歯垢は十分かきとれます。
 
それでも取れないものは歯石や歯の着色などである可能性があるので治療が必要かはかかりつけの動物病院にご相談ください。
歯石取りの器具が販売されていますが、自宅で歯石を削り取ると歯の表面は細かな歯石が残っている状態でザラザラしています。
ザラザラしたところには歯垢が付着しやすくなるので、動物病院で歯石取りをする場合は歯の表面を機械を使って磨いて(ポリッシング)ツルツルの状態に近づけます。
 

歯みがきの頻度

理想は1日1回です。
歯の表面の歯垢が歯石に変わるまでに3日から5日程度かかるため、毎日の歯みがきがむずかしくてもまずは週に2,3回みがくことを目標にしましょう。
みがけない日は歯みがきガムを与えたり酵素入りペーストをなめさせるなど、手間のかからない方法と組み合わせると負担も軽くなります。
 

これから歯みがきを始めたい方へ

まだ子猫であれば永久歯が生えそろう生後6,7か月までにデンタルケアを始めると慣れてくれて続けやすくなります。
子猫も成猫も最初から歯ブラシですべての歯をみがこうとすると嫌がるので、まずは口の周りや口の中を触る練習からはじめます。
 
  1. 口の周りを指でなでる。
  2. 唇を指でめくって歯に触れてみる。
  3. 歯ブラシで口周りをなでてみる。
  4. 歯ブラシを手前の歯に軽く当ててみる。
  5. 歯ブラシでみがく歯の本数を増やす。
1回の練習は数分以内で短めにし、できたらご褒美をあげます。嫌がるようならすぐにやめて次の日以降に短い時間で試してみて、出来たらご褒美をあげて口を触らせるといいことがあると覚えてもらいます。
 
練習の時に与えるご褒美はごく小さいものを用意し、上手く出来るたびに素早くその場で与えます。お気に入りのおやつをドライフードの粒くらいの大きさに切ったものや、ペースト状のおやつをひと舐めくらいで十分なのですぐに与えます。時間が経つと、口を触らせたのでご褒美がもらえたと結び付けて考えられなくなります。
 
ご褒美を与える以外には猫の好きなフレーバーの歯みがきペーストを最初から使う方法もあります。
歯みがきシートや歯ブラシにつけた歯みがきペーストを猫が舐めている間に触れたりみがいたりします。(指をかまれたり歯みがきシートを飲み込まれたりしないように気を付けてください。)
 
指では触れるけど歯ブラシを嫌がる時には、歯ブラシで猫のおでこや口の周りをなでてみてください。
歯ブラシの触れる感じは猫のザラザラした舌の感触と似ているので、顔をお母さん猫になめられているようで心地よくなる猫も多いです。
口周りを嫌がらなければ、口の周りを歯ブラシでなでる合間に歯もひとなでして少しずつ慣らしてあげてください。
 

歯周病になると

根本的な治療は人間と同じく歯石と歯垢の除去です。
人間と違うところは猫は全身麻酔をかけないと処置ができないため麻酔をかけるリスクを伴います。
費用は2,3万円から、麻酔前の検査や抜歯の有無、治療の内容によって最終的な金額は変わり、動物病院ごとに異なります。
また麻酔をかけて歯石を取り除いても、自宅でのデンタルケアができないと半年程度で歯石の付着が確認できるようになることもあります。
 
なるべく子猫のうちから歯みがきの習慣をつけましょう。
成猫の場合やどうしても口を触れない場合は歯みがき以外のデンタルケアで無理なくできることを試してあげて下さい。
プロフィール
この記事を書いた人
まいたけ

獣医師・ペット栄養管理士・ペット薬膳管理士
食べることが大好きなラグドール男子、しめじさんと同居中。

動物病院で働いたり外資系企業に勤めたりしていました。
ねこアレルギーとねこが快適に暮らす方法やペットの手作りおやつ、ホームケアを簡単にする方法などを追求しています。

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