キャットフードについて、「グレインフリーがいいのではないか」「国産がいい」など皆さんいろんなところにこだわりがあると思います。
個人的にはこだわりすぎないことを心がけています。
うちの猫の食事に関しては安全で体に悪いものが入っていなくて必要な栄養素をバランスよくとれるフードであればそれほど細かいところにはこだわりません。
また子猫のうちは食の経験値をあげていきたいとも考えています。
お気に入りのフード1種類だけを食べるなど、猫の食へのこだわりが強くなると食事の選択肢が狭くなることがあります。
体調不良で療法食に変えないといけない、予想外の災害や販売終了でいつものフードが手に入らない。
そんな時には食べられるフードの種類が多いと安心です。
猫の好き嫌い
ドライフードでも缶詰でもなんでも食べてくれる猫もいればドライフードしか食べなかったり、いつものフード以外は全く食べない猫もいます。
猫の食事の好みはどうやって決まるのでしょうか?
ひとつ言われているのが母猫の食事の好みに影響されやすいということです。
例えば母乳を飲んでいる時期に母猫が食べていた食事の味を好きになったり、離乳食として与えられていた食事の味がいわゆる「おふくろの味」になると考えられています。
子猫の頃に食べたことがないものは大人になってから初めて与えられてもなかなか食べてくれない場合があります。
わが家の子猫は主食となる総合栄養食は一つに決めていますが、間食として少しずつ他のメーカーのフードや粗びきタイプやとろみがけ仕立ての缶詰などを与えていろんな食感や味に慣らすようにしています。
ただし、少量でも猫にとって有害な食品を食べさせてはいけません。
食べさせてはいけない食品について、詳細はこちらの記事をご参照ください。

【ダメ!】猫に食べさせてはいけないもの【食品編】
食事中に猫からかわいくおねだりされると、ついつい少しお裾分けしたくなりますよね。人間にとってはおいしい食べ物でも猫にとっては体に良くないものがあります。猫にとって有害な食品を与えると、嘔吐や下痢の症状が出たり場合によっては腎障害、肝障害など...
国産にこだわるべきか
国産のペットフードにこだわる方も最近は多いのですが、気を付けたい点は「国産の原材料で作られていること」にこだわるのか「国内で製造されたこと」にこだわるのかです。
ペットフードのパッケージには原産国を記載することが義務付けられています。
ここでいう原産国というのはペットフード製造の最終工程を行った国を記載することに決められているので、外国産の原材料を使っていても日本の工場で製造していれば「原産国:日本」となります。
国産の原材料にこだわるのであれば、原材料がすべて国内で調達されているフードを選ぶ必要があります。
ただし小麦や肉類など私たちが口にする食材も外国産のものが多くみられます。
人間の食料としての安全基準を満たしている食材を使っているのであれば、外国産でも国産でもペットフードの原産国にはこだわらないようにしています。
無添加フードにこだわるべきか
まずドライフードについてはフードに含まれる脂肪が酸化しないように酸化防止剤を添加するのが一般的です。
酸化したフードを与えることで食欲不振、嘔吐、下痢などの体調不良を起こす場合があります。
酸化防止剤にはBHAやBHTなどの合成酸化防止剤のほか、ビタミンE(トコフェロール)や植物由来の成分などが利用されています。添加物についても「合成」「天然」という言葉だけで安全性を判断するのではなく、使用目的や使用量を含めて考えることが大切です。
着色料はなるべく使用していないものを選んでいます。
赤や緑の粒が入ったカラフルなペットフードもありますが、犬と猫は赤と緑をうまく識別できず赤は黒っぽく、緑は黄色っぽく見えます。
ですのでカラフルな粒はペットの食欲をそそるというよりも人間から見ておいしそうに見えるように作られています。
また着色料を使わないペットフードは原材料の産地や収穫時期によって色味が変わるため、ペットフードの色をいつも一定に保つために着色料を使用する場合があります。
添加物とは?
酸化防止剤や着色料以外にも栄養バランスを調整するための栄養添加物(ビタミン、ミネラル、アミノ酸など)、フレーバーなど食欲増進のための添加物、セミモイストフードのしっとりさを保つための湿潤調整剤などがあります。
日本国内で流通するペットフードはペットフード安全法で定められた範囲内で添加物を使用しています。
グレインフリーにこだわるべきか
グレインフリー(穀物不使用)にこだわるべきペットは存在します。
グルテン過敏症や穀物にアレルギーがあるペットはグレインフリーのフードが推奨される場合があります。
ただし食物アレルギーは皮膚にトラブルがある犬や猫のうち5%-10%前後という報告もあり、その中でも穀物にアレルギーがあるペットはさらに少なくなります。
なぜこんなにもグレインフリーのペットフードが流行っているのか調べてみたことがあります。
グレインフリーのぺットフード販売サイトでは「犬と猫は穀物を消化しづらい」「肉食の動物に穀物は不要」「穀物は食物アレルギーになりやすい」という記載が見られます。
犬と猫は穀物を消化しづらいか?
人間も穀物を生のままでは消化できません。
ご飯やパンのように水を加えて加熱することによってデンプンがα化(糊化)して消化吸収しやすくなります。
ペットフードの中の穀物も加熱されて消化吸収しやすくなった状態で入っています。
肉食動物に穀物は不要?
穀物はカロリー源になるデンプン、糖、体の調子を整えてくれるビタミン、ミネラル、便の状態や腸内環境を改善してくれる食物繊維などをとるためにペットフードに含まれています。
猫は肉食動物だから本来は穀物を食べないのではないかと思われるかもしれません。
猫は真正肉食動物(obligate carnivore)で、進化の過程では主に動物性の食物から必要な栄養素を摂取してきました。
だからといって、「猫は穀物や炭水化物を消化できない」というわけではありません。
ペットフードに使用される穀物などのデンプンは、加熱・加工されることで消化しやすい状態になっています。研究でも、猫は適切に加工されたデンプンを消化・吸収できることが確認されています。
穀物はエネルギー源となるデンプンだけでなく、食物繊維などを供給する原材料として利用されることもあります。
そのため、「猫は肉食動物だから穀物が入ったフードはよくない」と、穀物の有無だけでフードの良し悪しを判断する必要はありません。
特に食物繊維は便秘しがちな犬、猫や毛玉をよく吐いてしまう猫用のフードでは強化されており、犬や猫の体調を整えるために利用されています。
食物アレルギーになりにくい?
「穀物を使用していない」という理由だけで、食物アレルギーになりにくいフードとはいえません。猫では牛肉、魚、鶏肉なども食物アレルギーの原因として報告されています。
グレインフリーのメリット
グレインフリーの食事とそうではない食事とでペットの健康状態や疾患の罹患率、寿命などに変化があるのかを長期にわたって多数のペットや人間で調べたという研究はまだ乏しく情報が十分にないため、体に良いとも悪いとも判断しがたい状況です。
偏りのない食生活を
2018年、米国食品医薬品局(FDA)は、エンドウ豆やレンズ豆などの豆類(pulses)やジャガイモを多く含む食事を食べていた犬で、拡張型心筋症(DCM)が報告されたことから調査を開始しました。中には、もともとDCMの遺伝的素因が知られていない犬種も含まれていました。
その後の調査や研究では、DCMはグレインフリーの食事だけでなく穀物を含む食事でも報告されています。一方、食事との関連が疑われた症例では、エンドウ豆やレンズ豆などの豆類を多く使用した食事が多かったことや、食事を変更した後に心機能が改善した犬がいることなどから、食事が関係するDCMの研究が続けられています。
ただし、現時点でも特定の食材や「グレインフリーであること」がDCMを引き起こすと証明されたわけではありません。遺伝的要因や基礎疾患、原材料の種類や配合量、栄養バランス、消化性、製造方法など複数の要因が関係している可能性があります。
そのため、「グレインフリーだから健康によい」「穀物が入っているから悪い」といった一つの特徴だけでフードを判断するのではなく、犬や猫に必要な栄養が適切に設計された総合栄養食を選ぶことが大切です。
「国産」「無添加」「グレインフリー」「穀物使用」など、ペットフードにはさまざまな特徴が表示されています。
しかし、一つの原材料が入っている・入っていないということだけで、そのフードが健康によいか悪いかを判断することはできません。
大切なのは、猫の年齢や健康状態に合っていること、必要な栄養素を適切に摂取できること、そして主食として与える場合には栄養バランスのとれた総合栄養食を選ぶことです。
食物アレルギーや病気などで特定の食事管理が必要な場合には、自己判断で食材を制限するのではなく、かかりつけの獣医師に相談しましょう。